「インバウンドが好調で観光業界全体が活況を呈しているように思えるかもしれないが、勘違いしている。国内旅行はここ10年低迷しているし、宿泊数も増えていない」 こう明言したのは、日本観光振興協会中部支部の須田寛支部長。9月9日、大阪市内で開かれた中部広域観光推進協議会(三田敏雄会長)主催の中部広域観光フォーラムで講演した時の発言だ。 須田支部長は「観光のあり方に対する新たな視点」をテーマに国内旅行やインバウンドに対する考えを話した。 その中で「定住人口が減る中で人を増やすには交流人口しかない。交流人口を増やすには観光しかない」「日本の観光は90%が日本人で成り立っている。日本人が国内旅行に出掛けないと観光業界全体は活性化しない」と断言。中部エリアのインバウンド誘致の目玉「昇龍道プロジェクト」についても「人数は増えても通過型で消費にはつながっていない。消費につながる施策が必要」と疑問を呈した。 さらに須田支部長は国内、海外とも観光客数と観光消費を増やすには地域住民と交流する味つけが大事だとし、着地型観光を主体にした観光まちづくりで交流を促す必要性を訴えた。「観光は(地域の魅力を掘り起こすことで交流が深まる)文化事業であり、観光に出かけるのは大きな経済行動だと認識し、観光の需要喚起を図る必要性がある」と話した。 フォーラムには150人が参加。石川福井長野岐阜静岡愛知三重の各県と浜松市が観光PRを行い、商談会、交流会を開いた。 同会の三田会長は「当会は昇龍道プロジェクトとして、主にインバウンドの誘客のお手伝いをしている。また中部圏域の多くの企業にご参加いただき、アクションプランをつくり、それに沿った情報発信を国内外に行っている。これからも努力したい」。日本観光振興協会の見並陽一理事長は「観光立国推進の第一歩が今日のフォーラムだ。しっかりと情報収集してほしい」と語った。 (15/10/22)
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